【インシデント速報】2026年7月24日|ニチレイにRansomHouseが犯行声明・福岡大委託先ノストラムから最大3.3万人漏えいか・名鉄協商が約1か月ぶり一部復旧
【インシデント速報】2026年7月24日|ニチレイにRansomHouseが犯行声明・福岡大委託先ノストラムから最大3.3万人漏えいか・名鉄協商が約1か月ぶり一部復旧
7月22日前後は「ランサムウェアと委託先経由の被害」が続いた。冷凍食品大手ニチレイには攻撃者グループが犯行声明を出して個別通知が始まり、福岡大学は就活対策サイトの委託先から最大3.3万人分が漏えいの可能性、名鉄協商はランサム被害から約1か月かけてサービスを一部復旧させた。自社が直接狙われなくても、委託先の管理とバックアップ体制の差が被害の大きさを決める。
① ニチレイ|サイバー攻撃にランサム集団「RansomHouse」が犯行声明、個人情報漏えいの可能性で個別通知を開始
冷凍食品大手の株式会社ニチレイは、7月13日に発生した不正アクセスによるシステム障害について、7月15日にサイバー攻撃であることを確認したと公表している。被害を受けたサーバの一部に個人情報が保管されており、漏えいの可能性がある事案として個人情報保護委員会へ報告。冷蔵倉庫の入出庫業務や冷凍食品の出荷業務に大きな影響が出たが、バックアップからの復旧で7月17日より順次業務を再開した。
7月22日までに、ランサムウェアグループ「RansomHouse」がダークウェブ上のリークサイトで犯行声明を出していたことが判明した。リークサイトには「暗号化済み:2026年7月13日」などの記載があり、窃取したとする「証拠パック」がダウンロード可能な状態になっている。ニチレイは、被害サーバに保管されていた個人情報が外部へ漏えいした可能性があるとして、対象者への個別通知を始めている。
RansomHouseは、2025年10月に事務用品通販大手のアスクルを攻撃した際にも犯行声明を出し、約1.1TBのデータ窃取を主張したグループとされる。
中小企業への影響
大企業が標的でも、いったんデータを暗号化・窃取されると出荷や物流など事業の根幹が止まる。取引先である中小企業も、納品や受注が滞るサプライチェーンの巻き添えを受けやすい。攻撃者がリークサイトで「証拠」を晒し、身代金を払わなければ公開すると脅す二重恐喝が定着しており、「暗号化されただけでなく盗まれて公開される」前提での備えが必要になっている。
推奨対応
- 止まると事業が困る基幹システム(受発注・在庫・物流)を洗い出し、書き換えできないオフラインのバックアップを用意する
- 主要な仕入先や物流委託先が被災した場合の代替手段・連絡体制を事前に決めておく
- データを窃取・公開される前提で、漏えい時の顧客通知や問い合わせ対応の手順を準備する
② 福岡大学|委託先ノストラムの就活対策サイトがランサム被害、最大33,668人分が漏えいの可能性
福岡大学は7月9日、学生向けの就職筆記試験対策サイト「SMART SPI」の運営を委託している株式会社ノストラムのサーバが不正アクセスを受け、学生の個人情報が外部に漏えいした可能性があると公表した。Security NEXTなどが報じている。
ノストラムの説明によると、2026年4月19日の早朝、VPN経由でランサムウェアがネットワークに侵入し、サーバのデータを暗号化してサーバを使用不能にした。4月17日には第三者の侵入が判明していた。漏えいの可能性があるのは最大33,668人分の学生の生年月日や試験結果などの情報で、攻撃者は盗んだデータを自らのサイトで公開すると予告している。現時点で漏えいや悪用は確認されていない。
大学は警察および個人情報保護委員会へ報告し、外部の専門家によるリークサイトの監視、システムの復旧、脆弱性対応を実施したとしている。
中小企業への影響
自社のシステムが堅牢でも、業務を委託した先が破られれば預けた個人情報が流出する。VPN機器の脆弱性や認証情報の窃取は、ランサムウェアの代表的な侵入経路だ。委託先の選定・監督は個人情報保護法上も委託元の責任とされており、外注先のセキュリティ確認を怠ると、被害を出したのが委託先でも自社が本人対応や当局報告の責任を負うことになる。
推奨対応
- 個人情報や重要データを預ける委託先に、VPN・リモートアクセス機器の更新状況と多要素認証の有無を確認する
- 委託契約にセキュリティ要件(インシデント時の報告義務やデータの取り扱い)を明記する
- 委託先で漏えいが起きた際に、委託元として本人通知や監督当局への報告を行う手順を整理しておく
③ 名鉄協商|駐車場関連サービスがランサム被害、約1か月かけて一部復旧
駐車場運営大手の名鉄協商は7月22日、6月23日に発生した不正アクセスに起因するシステム障害について、各種Webサイトの一部サービスを再開したと発表した。
発端は6月23日、サーバへの不審なアクセスを検知して一部サーバを停止し、ネットワークを遮断したことだった。外部専門機関の調査により、6月19日にランサムウェアによる不正アクセスの痕跡が確認されている。影響は名鉄協商パーキング、MKPポイントカード、月ぎめ駐車場、MKPビジネスカード、駐車サービス券販売などに及び、カーリース会員向けサイトやカーシェアの一部でも障害が発生した。
検知から一部サービスの再開までに約1か月を要した。復旧が長引くと、利用者の予約・決済や会員管理といった日常業務への影響も長く続くことになる。
中小企業への影響
ランサムウェアは「感染したら終わり」ではなく、その後の調査と再構築に数週間から数か月かかる。Web予約・会員管理・決済など顧客接点のシステムが止まれば、その間の売上と信用を失う。復旧手順やバックアップが整っていなければ、この停止期間はさらに延びる。事業規模にかかわらず、止まった場合にどれだけ早く戻せるかが被害の大きさを左右する。
推奨対応
- 顧客が使うWebサービス(予約・会員・決済)が止まった場合の代替受付手段(電話・店頭)を用意する
- システムを短期間で再構築できるよう、構成情報と復旧手順を文書化し、バックアップからの復元訓練を行う
- 障害発生時に利用者へ状況を知らせる告知手段(SNSや別ドメインの案内ページ)を準備しておく
編集部まとめ
今回の3件はいずれもランサムウェアが軸で、ニチレイと名鉄協商は自社が、福岡大学は委託先が標的になった。共通するのは「侵入を100%防ぐのは難しい」前提での備えの差だ。復旧を左右したのはバックアップと調査体制、被害の管理を左右したのは委託先の監督だった。中小企業も、オフラインのバックアップ、委託先のセキュリティ確認、業務停止時の代替手段という三点を今日から点検したい。

