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【セキュリティニュース】2026年10月11日号|国家サイバー統括室が不正アクセス多発で注意喚起(10/9)・シャープ/東芝テック製複合機にパストラバーサル脆弱性(CVE-2024-58388)で2024年から悪用・Android10月更新で25件修正(7件Critical)

今号は、政府が出した脆弱性管理・委託先対策の注意喚起(10月9日)を軸に、オフィスにほぼ必ずある「複合機(コピー機)」で2024年から悪用が続いている脆弱性と、Androidの10月定例更新を取り上げます。やるべきことは明確です。公開中のシステムと機器の棚卸しをして最新版を当てること、委託先のセキュリティを契約と運用で確認すること、業務で使うスマホに10月のパッチを当てること。順に具体的な手順を示します。
NEWS 01
内閣官房 国家サイバー統括室| 2026年10月9日公表

国家サイバー統括室が不正アクセスの相次ぐ発生を受けて注意喚起――脆弱性管理とサプライチェーン対策を企業に要請

内閣官房の国家サイバー統括室は2026年10月9日、「不正アクセスによる漏えい等の事案を踏まえた対応について」と題する注意喚起を公表しました。大量の個人情報を扱う企業で、不正アクセスによる情報漏えいが相次いで確認されていることを受けたものです。

統括室は、攻撃者がWebシステムの脆弱性の悪用、取引先(サプライチェーン)経由の侵入、データ管理の不備といった経路で企業に侵入し、個人情報を含むデータを盗み出していると指摘しています。そのうえで、「インターネットに接続している以上、いつ攻撃を受けてもおかしくない」「侵入を完全に防ぐことは困難」という前提に立った備えを求めています。

要請の柱は大きく二つです。一つ目は脆弱性管理で、OS・ミドルウェア・CMS・業務アプリのセキュリティパッチを速やかに適用すること、サポートが終了した製品の利用をやめること、不要なシステムやポート・サービスを停止すること、定期的に脆弱性診断を行うことを挙げています。二つ目はサプライチェーン対策で、攻撃者はセキュリティの弱い委託先を踏み台に本来の標的へ到達するため、委託先のセキュリティ体制・責任範囲・認証や監査結果を確認し、契約にデータの取り扱いやインシデント発生時の報告義務を明記し、提供するデータは必要最小限にとどめて作業終了後に削除する、という運用を求めています。あわせて、多要素認証や管理者権限の最小化、ログの取得と大量・異常アクセスの監視、保有データの最小化と暗号化、そして経営層がサイバーセキュリティを経営課題として扱うことにも言及しています。

▌中小企業への影響

この注意喚起は大企業だけに向けたものではありません。個人情報保護委員会や業界団体を通じて、取引先から同等の対策を求められる流れが強まります。特にサプライチェーンの観点では、中小企業自身が「大企業にとっての委託先(弱い環)」と見なされ、取引継続の条件としてセキュリティ体制の説明や改善を求められる場面が増えます。対策の有無が、受注できるかどうかに直結し始めています。

▌推奨対応
  • インターネットに公開しているサーバー・機器・サービスを棚卸しし、サポート切れや放置されているものを洗い出して停止・更新する
  • OS・CMS・業務アプリのパッチ適用について、担当者と適用期限を決めて運用に落とし込む
  • 業務を委託している先に対し、データの取り扱い・アクセス管理・インシデント発生時の報告について契約や覚書で確認する
  • 自社が取引先から委託先として見られている前提で、説明できる最低限のセキュリティ対策(多要素認証・ログ管理・教育)を整える

NEWS 02
VulnCheck/研究者公表(CVE-2024-58388)| 2026年10月1日にCVE公開

シャープ・東芝テック製の複合機にパストラバーサルの脆弱性――認証不要で設定ファイルを読み取り、2024年から悪用を確認

複数のシャープ製複合機と、そのOEM(リブランド)である東芝テック製の複合機に、パストラバーサル(ディレクトリトラバーサル/ローカルファイル読み込み、CWE-22)の脆弱性があることが明らかになりました。脆弱性管理サービスのVulnCheckが2026年10月1日にCVE-2024-58388として公開したもので、技術的な詳細自体は研究者のPierre Kim氏が2024年6月27日にすでに公表していました。

この脆弱性は、複合機の電子マニュアル取得機能でパスの検証が不十分なことが原因です。認証もユーザー操作も不要で、ネットワーク経由で悪用でき、本来はマニュアル保存領域の外にあるOSの設定ファイルやコアダンプといったファイルを読み取られるおそれがあります。実際に、読み取られたコアダンプに平文の管理者パスワードが含まれていた例が確認されており、別の脆弱性と組み合わせることで認証情報の窃取や機器そのものの乗っ取りにつながり得ます。CVSSの基本値はv4.0で8.7、v3.1で7.5(いずれもHigh)です。

深刻なのは、これが「将来悪用されるかもしれない」脆弱性ではない点です。Shadowserver Foundationは2024年7月30日に悪用の痕跡を初めて確認したとされ、2年以上にわたり実際に狙われてきた可能性があります。2026年10月5日時点で、VulnCheckの既知の悪用脆弱性(KEV)リストには掲載されています。

▌中小企業への影響

複合機はほぼすべてのオフィスに置かれ、スキャン文書やファクス、ネットワーク設定など機微な情報が集まる機器でありながら、「パソコンのようにセキュリティ対策する対象」とは意識されにくいのが実情です。インターネットから直接アクセスできる状態で設置されていると、外部から設定ファイルや認証情報を抜き取られ、社内ネットワークへの侵入の足がかりにされます。リース・保守契約で導入している場合、自社では更新状況を把握していないことも多く、放置されやすい典型例です。

▌推奨対応
  • 社内の複合機のメーカー・機種を確認し、シャープ製・東芝テック製が含まれる場合は、保守事業者またはメーカーに対策ファームウェアの有無と適用を確認する
  • 複合機をインターネットに直接接続せず、ファイアウォールの内側に置き、外部から管理画面へアクセスできないようにする
  • 複合機の管理者パスワードが工場出荷時のままになっていないか確認し、推測されにくいものに変更する
  • Webページへのアクセスをパスワードで制限し、監査ログを定期的に確認する。すでに外部公開していた機器は、不審なファイル取得や認証情報の悪用がなかったかログを調査する
  • サポートが終了した機種は、後継製品への移行を計画する

NEWS 03
Google(Android Security Bulletin 2026年10月版)| 2026年10月5日公表

Androidの10月セキュリティ更新で25件の脆弱性を修正――うち7件がCritical、業務で使うスマホは更新を

Googleは2026年10月5日、Android Security Bulletinの2026年10月版を公開し、合計25件の脆弱性を修正しました。内訳はFrameworkコンポーネントが7件、Systemコンポーネントが18件で、このうち7件(Framework 1件、System 6件)が最も深刻度の高い「Critical(緊急)」と評価されています。パッチレベルは「2026-10-01」です。

最も深刻なものは、Systemコンポーネントの脆弱性で、追加の実行権限やユーザー操作なしに、端末内で権限昇格(本来許可されていない操作が可能になること)を起こされるおそれがあるとGoogleは説明しています。今回の公表時点では、これらの脆弱性が実際に悪用されたという報告はありません。悪用が始まる前に適用できる、いわば「先回りの更新」です。

Androidの更新は、Googleが情報を公開しても、各端末メーカー(Pixel、Galaxyなど)が自社向けの更新を配信するまでにタイムラグがあります。「2026年10月1日以降のセキュリティパッチレベル」が当たっているかどうかが、対策済みかの目安になります。

▌中小企業への影響

業務用スマホや、私物端末を業務に使うBYODの環境では、従業員のAndroid端末が更新されないまま放置されがちです。権限昇格の脆弱性を突かれると、業務メールや顧客情報を扱うアプリ、保存された認証情報が危険にさらされます。端末が多数あると「誰の端末が未更新か」を把握できないことが、そのままリスクになります。

▌推奨対応
  • 業務で使うAndroid端末の「設定」→「セキュリティ」などから、セキュリティパッチレベルが「2026年10月1日」以降になっているか確認し、更新が来ていれば適用する
  • メーカーの更新がまだ届いていない端末は、配信され次第すぐ適用するよう周知する
  • OSの更新が提供されなくなった古い端末は、業務利用から外すか買い替えを検討する
  • BYODを認めている場合は、最低限のパッチ適用を社内ルールとして明文化し、定期的に状況を確認する

編集部まとめ

今号の3件は、入口はばらばらでも、政府の注意喚起が示す「公開資産の棚卸しと迅速なパッチ適用」「委託先を含めた管理」という原則にすべて収まります。複合機は棚卸しから漏れやすい代表例であり、しかも2024年から悪用されてきた実例です。パソコンやサーバーだけでなく、複合機・ルーター・スマホまでを「更新すべき資産」として一覧化してください。

とりわけ、取引先から委託先として見られる立場の中小企業にとって、セキュリティ対策は受注条件になりつつあります。棚卸し・パッチ・委託先確認を仕組みにしておくことが、行政指導や取引停止のリスクを下げます。過去のニュースは記事一覧にまとめています。

参考情報

セキュリティニュースの記事

【セキュリティニュース】2026年10月14日号|Microsoft月例更新で過去最多1,413件修正(悪用済みゼロデイCVE-2026-96951)/自治体防災メール「SpeeCAN RAIDEN」最大約313万件漏えいか/GitLab CVSS10.0脆弱性(CVE-2026-97229)

今号は3本を取り上げます。最優先はMicrosoftの10月月例更新で、1,413件という過去最多のCVEが修正され、すでに悪用が確認されたゼロデイも1件含まれます。Windows PCを使う全企業が対象です。次に、全国