【セキュリティニュース】2026年5月15日号|Microsoft緊急パッチ118件・nginx重大脆弱性・CAMPFIRE22万人情報漏えい・国内ランサム被害続発

今号では4本のニュースを取り上げます。Microsoftが5月の月例パッチを公開し、118件の脆弱性のうち30件が最高評価の「緊急」です。Webサーバー「nginx」では18年間潜伏していた重大な脆弱性(CVSS 9.2)が発覚しました。クラウドファンディング「CAMPFIRE」では、GitHubアカウントへの不正アクセスをきっかけに最大22万5,846人分の個人情報漏えいが判明しています。国内ではランサムウェア被害が続いており、複数の企業が被害詳細を公表しました。Windows Updateの適用とWebサーバーのバージョン確認を今週中に実施してください。

NEWS 01
IPA / JPCERT/CC | 2026年5月13日

Microsoft 5月月例パッチ公開、118件の脆弱性修正——緊急30件に認証不要のRCEも

Microsoftは2026年5月13日(日本時間)、月例のセキュリティ更新プログラムを公開しました。今月は118件の脆弱性に対応しており、最も深刻な「緊急(Critical)」は30件に上ります。IPAとJPCERT/CCも同日、適用を求める注意喚起を発出しています。

今月特に注意すべき脆弱性は以下の4件です。いずれも攻撃者が認証やユーザー操作なしに悪用できる点が共通しており、ネットワーク経由で遠隔からコードを実行できます。

特に危険性の高い脆弱性(認証不要・遠隔からコード実行)

CVE番号 対象製品 脅威
CVE-2026-41089 Windows Netlogon リモートコード実行(認証不要)
CVE-2026-41096 Windows DNSクライアント リモートコード実行(認証不要)
CVE-2026-42898 Microsoft Dynamics 365(オンプレミス) リモートコード実行
CVE-2026-42823 Azure Logic Apps 特権昇格

脆弱性の種類別内訳は、権限昇格が57件と最多で、次いでリモートコード実行が29件、情報漏えいが9件です。対象はWindows・Office・SharePoint・Teams・SQL Server・.NET・Azureなど広範囲に及びます。

▌中小企業への影響

Windows PCを使用しているすべての企業が対象です。Windows Netlogon(CVE-2026-41089)は社内のActive Directory環境に影響し、DNSクライアントの脆弱性(CVE-2026-41096)はすべてのWindows端末に存在します。パッチ未適用の端末が1台でもあれば、そこが侵入口になり得ます。

▌推奨対応(今週中に実施)
  • → Windows Updateを手動で起動し(設定→更新とセキュリティ→Windows Update)、最新パッチが適用済みであることを確認する
  • → 社内に複数台のPCがある場合は、すべての端末でパッチ適用状況を確認する
  • → Active Directory(Windows Server)を自社運用している場合は、サーバー側のパッチ適用も管理者が確認する
  • → Microsoft 365(クラウド版)のOffice・TeamsはMicrosoftが自動更新するため個別対応は不要。デスクトップ版Officeは要確認

NEWS 02
nginx / AlmaLinux / Picus Security | 2026年5月13日

nginx に18年潜伏した重大脆弱性「NGINX Rift」(CVE-2026-42945)、CVSS 9.2——即時アップデートを

2026年5月13日、オープンソースのWebサーバーソフトウェア「nginx」に深刻な脆弱性(CVE-2026-42945、通称「NGINX Rift」)が公開されました。セキュリティ研究グループ「depthfirst」とF5の共同調査で発見されたもので、CVSS v4.0スコアは9.2と最高水準に近い評価です。

この脆弱性はnginxの「ngx_http_rewrite_module」内に存在し、コードが最初に取り込まれた2008年から18年間、誰にも発見されないまま潜伏していました。「ヒープバッファオーバーフロー」の一種で、特定の設定条件下で攻撃者がWebサーバー上で任意のコードをリモートから実行できます。

影響を受けるバージョン

製品 影響バージョン 修正バージョン
nginx オープンソース版 0.6.27〜1.30.0(全バージョン) 1.30.1 または 1.31.0
NGINX Plus R32〜R36 R36 P1(パッチ版)
NGINX Instance Manager / App Protect WAF 影響あり F5公式アドバイザリ参照

なお、同時期にPalo Alto NetworksのファイアウォールOS「PAN-OS」でも重大な脆弱性(CVE-2026-0300、CVSS 9.3)が実際に悪用されており、CISAのKEVカタログに登録されています。PAN-OS機器を使用している場合は合わせて確認が必要です。

▌中小企業への影響

nginxは世界で最も広く使われているWebサーバーの一つで、自社Webサイトのホスティング・社内ツール・リバースプロキシなど幅広い用途で使用されます。自社でサーバーを管理している場合は版数の確認が急務です。攻撃に成功した場合、サーバーの完全な乗っ取りに直結します。

▌推奨対応
  • → nginxのバージョンを確認する(コマンド:nginx -v)。1.30.0以下であれば対象
  • → nginx 1.30.1または1.31.0にアップデートする
  • → NGINX Plus利用の場合は、R36 P1パッチをF5のサポートポータルから適用する
  • → レンタルサーバー・クラウドのマネージドサービスを使っている場合は、利用中の事業者に対応状況を確認する

NEWS 03
CAMPFIRE / Security NEXT / ITmedia NEWS | 2026年4月24日公表

CAMPFIRE、GitHubへの不正アクセスで最大22万5,846人分の個人情報が漏えいの恐れ——口座情報も含む

クラウドファンディングサービス「CAMPFIRE」を運営する株式会社CAMPFIREは2026年4月24日、システム管理用GitHubアカウントへの不正アクセスをきっかけに、最大22万5,846件の個人情報が漏えいした可能性があると公表しました。

インシデントの経緯

日時 出来事
4月2日 22:50頃 GitHubアカウントへの不正アクセスを検知、ソースコードの一部が閲覧された可能性
4月14日 一部の個人情報にアクセスできる状態だったことが判明
4月22日 データベースへの不正アクセス痕跡を確認
4月24日 最大22万5,846件の個人情報漏えいの可能性を公表

漏えいした可能性がある情報は、プロジェクト実行者(起案者)12万929件の氏名・住所・電話番号・口座情報、支援者13万155件の氏名・住所・口座情報です。このうち8万2,465件には口座情報が含まれています。

▌中小企業への影響

このインシデントは「GitHubなどの開発ツールに保存されたシークレット情報(APIキー・認証情報)が攻撃者の侵入口になる」という構造的なリスクを改めて示しています。自社でGitHubやGitLabを使っている場合、リポジトリにパスワードや接続文字列が直接記述されていないか確認が必要です。

▌推奨対応
  • → CAMPFIREを利用中の場合は、同社からの通知メールを確認し案内に従う
  • → GitHubアカウントに多要素認証(MFA)を設定する(GitHub設定→Password and authentication)
  • → GitHubリポジトリにパスワード・APIキー・データベース接続文字列などが直接書き込まれていないか確認する
  • → 「Personal access token」は必要最小限の権限に絞り、定期的にローテーションする

NEWS 04
ScanNetSecurity | 2026年3月〜5月

国内ランサムウェア被害の続報——オーミケンシ5月に調査結果公表、東山産業・穴吹ハウジングでも情報漏えい確認

繊維メーカーのオーミケンシは2026年3月16日にサイバー攻撃によるシステム障害が発生し、5月11日の続報でVPN経由の侵入の可能性が高く、ファイルサーバーのデータが暗号化されたランサムウェア攻撃であることが確認されたと報告しました。外部へのデータ送信も一部確認されていますが、現時点では取引先・顧客の個人情報は含まれておらず、従業員の氏名等に限定されているとのことです。基幹システムの停止により決算手続きにも遅延が生じており、調査は5月末を目安に継続中です。

東山産業のケースでは、攻撃者が業務時間外に複数のサーバーへのログインを繰り返して管理者権限を奪取し、「QILIN」ランサムグループがランサムウェアを展開しました。グループのリークサイトに一部データが公開されており、福祉事業部の顧客情報・役員・従業員情報・採用応募者の情報が含まれていたとのことです。

穴吹ハウジングサービスは、2026年2月3日に発生したランサムウェア攻撃の続報として、攻撃者が公開したデータに松山市営住宅入居者の個人情報が含まれていたことを確認したと公表しています。

▌中小企業への影響

東山産業の事案に見られるように、攻撃者は「業務時間外に管理者権限を少しずつ奪う」手口を多用しています。夜間・休日のログイン監視が難しい中小企業では、侵入に気づくのが遅れがちです。QILINのような組織的ランサムグループは中小企業も標的にします。

▌推奨対応
  • → VPN機器・ルーターのファームウェアをメーカーサイトで確認し、最新バージョンに更新する
  • → 管理者アカウントのパスワードを16文字以上のランダム文字列に変更し、MFAを設定する
  • → RDPが不要な場合はファイアウォールでポート3389を閉じる。必要な場合はVPN経由のみに制限する
  • → 重要業務データのバックアップが機能しているか今週確認する(オフラインで保管)

編集部まとめ

今週は「パッチ適用」と「認証強化」という2つのテーマが共通して浮かび上がります。MicrosoftのWindows Updateは今週中に全端末で完了させてください。nginxを自社で動かしているなら1.30.1へのアップデートが急務です。CAMPFIREの事案はGitHubアカウント管理の甘さが起点となっており、開発用ツールに多要素認証が設定されていない企業は今すぐ設定してください。ランサムウェアは「気づかないうちに管理者権限を奪われ、週末に一斉展開される」パターンが定着しています。バックアップの存在確認だけでも今日のうちに行ってください。

対策は完璧である必要はありませんが、「Windows Update」「MFA」「バックアップ」の3点を押さえるだけで、多くの攻撃を無力化できます。

参考情報

  • IPA「Microsoft 製品の脆弱性対策について(2026年5月)」(2026年5月13日)
  • Security NEXT「MS、5月の月例セキュリティ更新をリリース——脆弱性118件に対応」
  • AlmaLinux「NGINX Rift (CVE-2026-42945): Patched nginx available in testing」(2026年5月13日)
  • IPA「Palo Alto Networks製PAN-OSの脆弱性対策について(CVE-2026-0300)」(2026年5月8日)
  • CAMPFIRE「弊社システムへの不正アクセスによる個人情報漏えいの可能性に関するお詫びとご報告」(2026年4月24日)
  • ScanNetSecurity「ファイルが暗号化されておりランサムウェアである可能性が高い——オーミケンシへのサイバー攻撃」(2026年5月11日)
  • ScanNetSecurity「東山産業へのランサムウェア攻撃、データの公開を確認」

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