【セキュリティニュース】2026年7月19日号|MS月例パッチ悪用2件・ニチレイ不正アクセス・アフラック440万人流出

今週は4本のニュースを取り上げます。Microsoftの7月月例パッチには悪用済みのゼロデイ脆弱性2件が含まれており、至急の適用確認が必要です。国内ではニチレイが不正アクセスで冷凍食品の出荷停止に追い込まれ、アフラックの情報流出は約440万人に拡大しました。自社のパッチ適用状況とバックアップ体制を今週中に確認してください。

NEWS 01
IPA / JPCERT/CC | 2026年7月15日

Microsoft 7月月例パッチ公開、悪用済みゼロデイ2件を含む過去最多規模の修正

Microsoftは2026年7月14日(米国時間)、7月の月例セキュリティ更新プログラムを公開しました。修正対象はCVEベースで622件と過去最多規模です。IPAとJPCERT/CC(注意喚起 at260020)がそれぞれ緊急の適用を呼びかけています。

特に注意が必要なのは、更新プログラム公開前から悪用が確認されている2件です。CVE-2026-56155(Active Directory フェデレーションサービスの特権昇格)とCVE-2026-56164(Microsoft SharePoint Serverの特権昇格)で、いずれも攻撃者が社内システムの管理者権限を奪取する足がかりになります。

▌中小企業への影響

Windows PCを使っている全企業が対象です。AD FSやSharePointを自社サーバーで運用している場合は、既に攻撃が始まっている脆弱性のため放置は禁物です。パッチ未適用のPCが1台あるだけで、そこを起点に社内全体へ被害が広がります。

▌推奨対応(今週中に実施)
  • → 全PCでWindows Updateを実行し、2026年7月の更新プログラムが適用済みであることを確認する
  • → SharePoint ServerまたはAD FSを自社運用している場合は、サーバー管理者が最優先でパッチを適用する
  • → サーバーのパッチ適用前に、不審なアカウント作成や権限変更の痕跡がないかログを確認する
  • → 適用後の不具合に備え、業務閑散時間帯での適用と再起動を計画する

NEWS 02
ニチレイ / 各紙報道 | 2026年7月13日

ニチレイに不正アクセス、冷蔵倉庫の入出庫・冷凍食品の出荷が一時停止

ニチレイは7月13日、不正アクセスに起因するシステム障害が発生したと公表しました。障害は同日午前に確認され、ニチレイロジグループの冷蔵倉庫の入出庫業務と、ニチレイフーズの冷凍食品の生産・出荷業務に影響が出ました。外部のセキュリティ専門会社と安全対策を講じたうえで、7月17日から業務を順次再開しています。

現時点で個人情報や顧客データの社外流出は確認されていませんが、調査は継続中です。同社の低温物流サービスは年間約5,000社が利用しており、障害の長期化は取引先の物流にも波及するところでした。

▌中小企業への影響

物流・倉庫といった基幹業務システムが攻撃で止まると、自社だけでなく取引先の事業も止まるという典型例です。食品や医薬品など供給責任のある業種では、数日間の停止が取引関係そのものに影響します。委託先・仕入先が攻撃されて自社業務が止まるリスクも同様に考える必要があります。

▌推奨対応
  • → 基幹システム(受発注・在庫・出荷)が停止した場合の手作業での代替手順を文書化しておく
  • → 主要な取引先・委託先がシステム障害を起こした場合の連絡経路と代替手段を確認する
  • → サーバーやNASのバックアップを、ネットワークから切り離した状態で保管する運用を徹底する
  • → 障害発生時の公表・取引先への一報の判断基準をあらかじめ決めておく

NEWS 03
アフラック生命保険 / 各紙報道 | 2026年7月13日

アフラックの情報流出は約440万人に拡大、侵入から検知まで約2週間

アフラック生命保険は7月13日、6月末に公表した不正アクセスによる顧客情報流出について、対象が当初公表から増えて約440万人になったと発表しました。保険料振替口座の情報が流出した顧客は約22万人です。社内調査の結果、不正アクセスの開始時期も当初発表の6月15日から6月10日に訂正され、侵入から検知まで約2週間を要していたことが明らかになりました。

同社は7月10日から対象顧客へお詫び文書の発送を開始しており、金融庁の報告徴求命令を受けて7月末をめどに調査結果と再発防止策を報告する方針です。

▌中小企業への影響

大手金融機関でも侵入の検知に2週間かかっています。監視体制の乏しい中小企業では、侵入されたことに数か月気づかないケースが珍しくありません。また、流出した口座情報や個人情報を悪用したフィッシング・なりすましが、取引のある企業や個人に向かう二次被害も想定されます。

▌推奨対応
  • → サーバーやクラウドサービスのログイン履歴を月1回確認する運用を決める(不審な時間帯・場所からのアクセスがないか)
  • → アフラックを装う「情報流出のお詫び」メールやSMSに注意する。心当たりがあれば公式サイト・正規窓口から確認する
  • → 顧客情報を保有するシステムに多要素認証(MFA)を設定する
  • → 自社で漏えいが起きた場合の個人情報保護委員会への報告手順(速報3〜5日以内)を確認しておく

NEWS 04
ScanNetSecurity ほか | 2026年7月15日

医薬品卸マルタケ、ランサムウェア攻撃で窃取された情報がリークサイトに掲載

新潟市の医薬品卸マルタケは、4月27日に発生したランサムウェア攻撃について続報を公表し、サーバーから持ち出された取引先・株主・役員・社員の情報が攻撃者のリークサイトに掲載されていることを確認したと明らかにしました。フォレンジック調査では、攻撃者が不正に作成したアカウント情報を使って社内サーバーにアクセスしていたことが判明しています。

データを暗号化して身代金を要求するだけでなく、盗んだ情報の公開で圧力をかける「二重恐喝」の典型的な被害事例です。攻撃はランサムウェアグループ「The Gentlemen」によるものと報告されています。

▌中小企業への影響

身代金を払わなければ盗まれた情報が公開される二重恐喝では、「バックアップがあるから復旧できる」だけでは被害が終わりません。取引先や社員の情報が公開されれば、損害賠償や取引停止に発展するリスクがあります。地方の中堅卸売業が標的になっており、企業規模や知名度は攻撃回避の理由になりません。

▌推奨対応
  • → サーバーのアカウント一覧を棚卸しし、身に覚えのないアカウント・退職者のアカウントを削除する
  • → 管理者権限のアカウント作成・変更を通知する設定を有効にする(Windows Serverの監査ポリシー等)
  • → 取引先情報・人事情報を保管するサーバーへのアクセス権を業務上必要な人員に限定する
  • → ランサムウェア被害時の対応(警察・IPAへの相談、取引先への通知)を含むインシデント対応手順を用意する

編集部まとめ

今週の4本に共通するのは「侵入の起点は既知の弱点」という点です。Microsoftパッチの適用確認は今週中に完了してください。ニチレイ・マルタケの事例は、システム停止と情報暴露が事業継続に直結することを示しています。バックアップの隔離保管、アカウントの棚卸し、システム停止時の代替手順。この3点の確認が今週の宿題です。

参考情報

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