【インシデント速報】2026年7月18日|ニチレイにサイバー攻撃・アサヒ漏えい229万件・佐川急便7万人誤表示
【インシデント速報】2026年7月18日|ニチレイにサイバー攻撃・アサヒ漏えい229万件・佐川急便7万人誤表示
食品大手ニチレイがサイバー攻撃で物流を停止。攻撃だけでなく「設定ミス」でも情報は漏れる(佐川急便の事例)。自社の重要業務が止まったときの代替手段と、システム変更時の確認体制を今すぐ点検すること。
① ニチレイ|サイバー攻撃で冷蔵倉庫・冷凍食品出荷が停止
株式会社ニチレイは2026年7月13日にグループのシステム障害を公表し、7月15日の第2報で、自社サーバがサイバー攻撃を受けたことを確認したと発表した。当初「不正アクセスによるシステム障害」としていた事象が、調査の結果、外部からの攻撃と裏付けられた形だ。
影響はニチレイロジグループ各社が担う冷蔵倉庫の入出庫業務と、ニチレイフーズの冷凍食品出荷業務に及び、一時停止に追い込まれた。外部のセキュリティ専門会社と対策を講じたうえで、停止していた業務は7月17日から順次再開する予定とされている。
被害を受けたサーバの一部には個人情報が保管されていたため、同社は漏えいの可能性がある事案として個人情報保護委員会へ第一報を提出済み。現時点で漏えいの事実は判明しておらず、調査を継続している。
中小企業への影響
ニチレイのように基幹システムが止まると、倉庫の入出庫や出荷といった「事業の心臓部」が動かなくなる。取引先として食品物流を利用する中小企業も、納品遅延という形で連鎖的に影響を受ける。攻撃は自社だけの問題ではなく、サプライチェーン全体を止めるリスクだと認識したい。
推奨対応
- 基幹システムが数日間使えなくなった場合の代替運用(手作業の受発注手順・連絡網)を文書化しておく
- 主要な取引先・物流委託先が被害を受けたときの連絡ルートと代替調達先をあらかじめ確認する
- 個人情報を保管するサーバを洗い出し、外部から直接到達できない構成(セグメント分離)になっているか点検する
② アサヒグループホールディングス|漏えいのおそれを229万件に上方修正
アサヒグループホールディングスは2026年7月17日、2025年9月29日に発生したサイバー攻撃(ランサムウェア攻撃)について、追加調査と個人情報保護委員会との協議を踏まえ、漏えいのおそれがある個人情報の対象範囲を改めて整理したと公表した。対象は従来の約191万件から、取引先の役員・従業員・個人事業主ら約37万8000件を加えて合計約228万9000件に拡大した。
内訳は、アサヒビール・アサヒ飲料・アサヒグループ食品各社のお客様相談室への問い合わせ者が約152万5000件、慶弔対応を行った社外関係先が約11万7000件、従業員が約10万7000件、従業員の家族が約16万2000件、取引先の役員・従業員や個人事業主等が約37万8000件。クレジットカード情報は含まれていない。
これまでの調査では、データセンターのサーバー内に保管されていた個人情報が外部に流出した事実そのものは確認されていない。対象者には順次通知が行われており、現時点で不正利用などの二次被害は確認されていないとしている。
中小企業への影響
注目すべきは、漏えいのおそれのある対象に「取引先の役員・従業員・個人事業主」が含まれた点だ。大企業が攻撃を受けると、そこに名刺情報や請求情報を預けている取引先の中小企業・個人事業主の情報まで巻き込まれる。自社が攻撃されていなくても、取引先経由で情報が漏れるリスクは常にある。
推奨対応
- 取引先から「あなたの情報が漏えいのおそれ対象」と通知が届いたら、当該アカウントのパスワード変更と不審メールへの警戒を行う
- 自社が預かる取引先情報(担当者名・連絡先・口座情報)の保管場所と保管期間を見直し、不要なデータは削除する
- 被害公表後に件数が「上方修正」されるのは通例。第一報の数字を鵜呑みにせず、続報を追う
③ 佐川急便|設定ミスで約7万人分の情報を別人に誤表示
佐川急便は2026年7月18日、会員制Webサービス「スマートクラブ」で、配達予定を知らせる通知メールの一部に、本来とは異なる利用者の氏名やメールアドレスなどが表示される事象が起きたと発表した。約7万人分の個人情報に影響が及んだ可能性がある。
対象となった情報は氏名・メールアドレス・荷物の「お問い合せ送り状No.」で、住所やクレジットカード情報は含まれない。事象が確認されたのは7月15日夕方頃で、原因は第三者による不正アクセスやサイバー攻撃ではなく、システム復旧作業時の設定ミスと説明されている。復旧対応はすでに完了し、現在は正常に利用できる状態だという。
外部からの攻撃ではなく、社内のシステム作業ミスが情報漏えいにつながった典型例だ。攻撃対策だけでは防げない「うっかり漏えい」が、7万人規模で発生し得ることを示している。
中小企業への影響
情報漏えいの原因は攻撃だけではない。システムの設定変更・復旧作業・メール配信のミスは、規模を問わずどの企業でも起こる。とくに顧客へ自動送信するメールやフォームは、設定を1つ間違えるだけで他人の個人情報を大量に露出させてしまう。
推奨対応
- 顧客向けの自動メール・一斉配信は、本番反映前にテスト環境で「別人の情報が混ざらないか」を必ず確認する
- システムの設定変更は担当者1人任せにせず、変更内容を第三者がチェックする二重確認の手順を設ける
- 復旧・移行作業の後は、送信先と表示内容が正しいかを実データで抜き取り確認してから公開する
編集部まとめ
今週の3件は「攻撃で業務が止まる(ニチレイ)」「取引先経由で巻き込まれる(アサヒ)」「自社のミスで漏らす(佐川急便)」と、情報リスクの三つの入口を示している。防御は攻撃対策だけでは足りない。業務停止時の代替手順、取引先情報の棚卸し、システム変更時の二重確認――この3点を自社に当てはめて点検してほしい。

