【セキュリティニュース】2026年5月2日号|沖縄総合事務局のFileZenに不正アクセスで最大1.5万人分流出可能性・アルプスアルパインの外部VPN経由不正アクセス・日本郵船の船舶燃料調達システム不正アクセス

【セキュリティニュース】2026年5月2日号|沖縄総合事務局のFileZenに不正アクセスで最大1.5万人分流出可能性/アルプスアルパインの外部VPN経由不正アクセス/日本郵船の船舶燃料調達システム不正アクセス

ゴールデンウィーク中の5月2日、企業のセキュリティ担当者・経営者が押さえておくべき動きが3件あります。第1に内閣府沖縄総合事務局が4月28日に公表したFileZen専用サーバへの不正アクセス事案で、最大1万5,091人分の個人情報が漏えいした可能性が判明しました。脆弱性CVE-2026-25108が関連していることが強く示唆されています。第2にアルプスアルパインが4月27日に公表した外部VPNシステムへの不正アクセスで、役員・従業員(退職者含む)および委託先社員の一部個人情報が外部から閲覧された可能性があります。第3に日本郵船が4月9日に公表したグループ利用の船舶燃料調達システムへの不正アクセスで、従業員・取引先従業員の氏名・連絡先などの個人情報が外部に持ち出された可能性があります。いずれも境界機器・VPN・公開サーバなど「インターネット側に晒されるシステム」を起点とした攻撃で、IPAが4月20日のGW注意喚起で警鐘を鳴らした「ネットワーク貫通型攻撃」の典型例です。

NEWS 01
内閣府沖縄総合事務局 | 2026年4月28日公表

沖縄総合事務局のFileZenに不正アクセス、最大1万5,091人分の個人情報漏えいの可能性——CVE-2026-25108が関連の疑い

内閣府沖縄総合事務局は2026年4月28日、同局が利用するソリトンシステムズ提供の大容量ファイル転送サービス「FileZen」の専用サーバが、本年1月に脆弱性を悪用した不正アクセスを受け、当該サーバに保存されていた個人情報が外部に漏えいした可能性があると公表しました。漏えいの可能性がある人数は最大1万5,091人分にのぼります。

連絡先を確認できる対象者は計5,965人で、内訳は、FileZenの送受信者情報216人、羽地大川土地改良区に係る土地原簿4,930人、港湾関係定時総会資料695人、土地改良区理事会資料117人、各種技術資格証明書・免状4人、経歴書3人となっています。連絡先が特定できた方には個別通知が順次行われています。残りの約9,000人分については連絡先が特定できないため、Webサイト上での公表対応がとられています。

不正アクセスの起点として、FileZenの脆弱性CVE-2026-25108(OSコマンドインジェクション、CVSS v3.0 8.8)が関連していることが強く示唆されています。ソリトンシステムズは2026年1月13日にこの脆弱性に対するパッチ(V5.0.11)を先行リリースしており、当該パッチの適用前に攻撃を受けた疑いがあります。現時点で本件に伴う具体的な二次被害は確認されていないとされていますが、ファイル転送サービスは性質上、業務文書・氏名・連絡先・契約関連書類などが集中しやすく、一度漏えいすると標的型攻撃の素材となります。

沖縄総合事務局 FileZen不正アクセス事案の概要

2

項目 内容
公表日 2026年4月28日
不正アクセス時期 2026年1月(脆弱性悪用による)
対象システム FileZen専用サーバ(ソリトンシステムズ提供)
関連脆弱性 CVE-2026-25108(OSコマンドインジェクション、CVSS v3.0 8.8)
パッチ提供日 2026年1月13日(V5.0.11)
漏えい可能性人数 最大15,091人分(連絡先確認対象 5,965人、その他約9,000人)
主な漏えい情報 氏名、連絡先、土地原簿、総会資料、理事会資料、技術資格証明書・免状、経歴書など
二次被害 現時点では確認されていない
▌中小企業への影響

FileZenはZIP暗号化メールの代替として国内中小企業・自治体・官公庁で広く使われている大容量ファイル転送ツールです。脆弱性公表とパッチ提供は1月13日に行われており、本事案は「パッチ提供から数か月放置されたシステムが踏み台になった」典型例です。自社で運用するファイル転送サーバ・グループウェア・社外公開のWebアプリケーションについて、ベンダーから提供された緊急パッチを「業務影響を理由に後回し」している状態がないかを連休中に棚卸しすべきです。社外公開サーバは攻撃者からみた最初の入口であり、パッチ適用の優先度を社内で最高位に設定する必要があります。

▌推奨対応
  • 自社で運用するFileZen・類似ファイル転送ツールのバージョンを確認し、最新版(V5.0.11以上)に更新する
  • 社外公開しているWebサーバ・VPN・グループウェアのパッチ適用状況をリスト化し、未適用機器を可視化する
  • ベンダーからの緊急パッチ通知を受け取る連絡経路(保守契約/メーリングリスト)が現役で機能しているか確認する
  • ファイル転送サーバに保管されたファイルの保管期間・自動削除ルールを見直し、不要なデータを削除する
  • ファイル転送ログ・アクセスログを最低3か月以上保存し、不審なアクセスを後追いできる体制にする
  • 万一の漏えいに備え、個人情報保護委員会への速報(3〜5日以内)と確報(30日以内)の社内手順を文書化する

NEWS 02
アルプスアルパイン株式会社(東証プライム) | 2026年4月27日公表

アルプスアルパインが外部VPN経由で不正アクセス被害——役員・従業員等の個人情報が外部閲覧された可能性

電子部品メーカーのアルプスアルパイン株式会社は2026年4月27日、同社が利用している外部VPNシステムへの不正アクセスにより、社内システムへのアクセス用に登録されている役員・従業員(退職者含む)および委託先企業の従業員の一部個人情報が、外部の攻撃者によって閲覧された可能性を否定できないと公表しました。

事案の経緯は、3月18日に社内システムの保守管理を委託している事業者から不正アクセスの痕跡が確認されたとの連絡を受け、同社が直ちに調査を開始したことに始まります。委託業者の調査によって4月13日には社内サーバにも不正アクセスがあったことが判明し、外部から閲覧された可能性のある情報の範囲が確定しました。同社は不正アクセス確認後、当該VPNシステムを停止し、影響範囲の特定を進めています。

外部から閲覧された可能性のある情報は、同社およびグループ会社の役員、従業員(退職者含む)、委託先企業の一部従業員のログインID(社員番号を一部含む)、氏名、会社メールアドレス、役職、部門名、システムIDです。パスワードは暗号化して管理しており、不正取得の事実は確認されていないとされています。同社は今後、VPNシステムを含むシステム全体のセキュリティ対策と監視体制の強化、個人情報の取り扱いと管理ルールの再点検、社員への情報セキュリティ教育の継続実施を行う方針を示しています。

アルプスアルパイン VPN不正アクセスの経緯

2

項目 内容
初動の連絡 2026年3月18日(保守委託先から不正アクセス痕跡の連絡)
社内サーバへの侵入確認 2026年4月13日
公表日 2026年4月27日
侵入経路 外部VPNシステム
影響対象 役員・従業員(退職者含む)・委託先企業従業員の一部
閲覧された可能性のある情報 ログインID(社員番号を一部含む)、氏名、会社メールアドレス、役職、部門名、システムID
パスワード 暗号化して管理しており、不正取得は確認されていない
事業影響 生産・販売活動への直接的影響は公表時点で言及なし
▌中小企業への影響

アルプスアルパインの事案は、VPNが「リモートワーク前提の常設の外部公開システム」となった結果、攻撃面が広がっている現実を示します。中小企業でもコロナ禍以降に導入したVPN機器・SSL-VPNを継続運用しているケースは多か、ファームウェア更新やアカウント棚卸しが追いついていない状態が珍しくありません。今回漏えいの可能性が指摘されたのは、社員番号を含むログインID・社用メールアドレス・部門名などで、これらは不正ログイン試行や標的型フィッシングに直接転用できます。委託先企業の従業員情報まで対象になっている点も重く、自社が大企業の取引先として登録した担当者情報が漏えい範囲に含まれる可能性も常に意識すべきです。

▌推奨対応
  • VPN機器(FortiGate・SonicWall・Pulse Secure・Cisco ASA等)のファームウェアバージョンを確認し、最新化する
  • VPN利用アカウントの棚卸しを行い、退職者・異動者・利用していない委託先アカウントを停止する
  • VPNへの多要素認証(MFA)が全員に強制適用されているか確認する。未適用の場合は連休明けに即実装する
  • VPNログイン試行の異常検知(連続失敗・海外IP・深夜時間帯)アラートを設定する
  • 大企業との取引で発生する「アクセスID登録」について、自社側で管理台帳を持ち、漏えい時に通知を受けられる連絡経路を確認する
  • 取引先からのなりすましメール(ID・パスワードリセット要求等)に対する電話確認ルールを社内に再周知する

NEWS 03
日本郵船株式会社 | 2026年4月9日公表

日本郵船グループの船舶燃料調達システムに不正アクセス——従業員・取引先従業員の個人情報が外部に持ち出された可能性

海運大手の日本郵船株式会社は2026年4月9日、同社グループが利用する船舶燃料調達システムにおいて第三者による不正アクセスが発生し、個人情報を含む一部のデータが外部に持ち出された可能性があると公表しました。本事案は、同社グループのIT資産そのものではなく、グループが利用するシステム側で発生したものとされています。

不正アクセスは2026年3月24日午後に発生し、同社はシステムをネットワークから隔離した上で使用を停止し、対策チームを設置して対応を進めました。当該システムは2026年3月27日に復旧し、同日に個人情報保護委員会など各国関係当局へ報告書を提出、3月31日に所轄の警察署にも報告を行っています。データの暗号化や金銭要求は確認されておらず、ランサムウェア型の攻撃の兆候は現時点では認められていないとしています。

漏えいの可能性がある情報には、退職者を含む同社従業員および取引先従業員の氏名、会社名、電話番号、メールアドレスなどが含まれます。船舶燃料調達は海運業のサプライチェーンの中核業務で、関係する取引先には燃料供給会社・港湾エージェント・代理店など多数の事業者が連なります。日本郵船自身のシステムではなくグループが利用する外部システムが起点となった点は、サプライチェーン側の弱点が表面化した事例として読み解く必要があります。

日本郵船 船舶燃料調達システム不正アクセスの経緯

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項目 内容
不正アクセス発生 2026年3月24日 午後
システム隔離・使用停止 同日中に対応
システム復旧 2026年3月27日
当局への報告 2026年3月27日(個人情報保護委員会等)/3月31日(所轄警察署)
公表日 2026年4月9日
影響対象 同社従業員(退職者含む)および取引先従業員
漏えい可能性のある情報 氏名、会社名、電話番号、メールアドレスなど
ランサムウェア兆候 現時点では確認されていない(暗号化・金銭要求なし)
▌中小企業への影響

本事案は「自社のITではなく、自社が利用する業務系SaaS・パートナー企業のシステムが侵害された」サプライチェーン型のインシデントです。中小企業でも、購買管理・受発注・配送手配・経費精算などで外部のクラウドサービスや業界共通システムを利用しているケースは多く、同種のリスクは身近にあります。漏えいした情報が「氏名・会社名・電話番号・メールアドレス」という基本的な連絡先情報であっても、海運・物流業界に関わる取引先の場合、なりすましメール(請求書偽装・口座変更詐欺・運賃変更要求)の素材として極めて効果的に転用されます。日本郵船またはその関連事業者と取引のある中小企業は、5月以降の「件名に船舶名・港名・案件番号を含むメール」に通常以上の警戒が必要です。

▌推奨対応
  • 自社が利用する業界共通システム・受発注プラットフォームの一覧を作成し、個人情報・取引情報の保管範囲を把握する
  • 外部システム提供元(SaaSベンダー)から、インシデント発生時の通知タイミング・連絡先・補償条件が契約書に明記されているか確認する
  • 取引先から届く「振込口座変更依頼」「請求書修正依頼」メールについて、必ず電話で原本確認するルールを再周知する
  • 従業員に対して、海運・物流業界関連の取引案件で件名に船舶名・港名・案件番号を含む不審メールへの警戒を明示的に注意喚起する
  • ベンダー・取引先からのインシデント通知を受信する連絡先(情報セキュリティ責任者・代替担当者)が現役で機能しているか確認する
  • 自社が大手企業の取引先名簿に登録された担当者情報を持つ場合、漏えい時の社内ルートを文書化する

編集部まとめ

本日取り上げた3件は、いずれも「インターネット側に晒されたシステム」を起点とした不正アクセス事案です。沖縄総合事務局のFileZenは公開ファイル転送サーバ、アルプスアルパインは外部VPN、日本郵船は業界共通の燃料調達システムと、攻撃面はそれぞれ異なりますが、共通する教訓は明白です。境界機器・公開サーバ・VPNのパッチ適用と、利用アカウントの棚卸しを連休中に着手すべきタイミングだということです。

連休明けには、自社の外部公開システムの脆弱性スキャン結果を再確認し、未適用パッチがある場合は最優先で適用すべきです。次号は5月3日号で、引き続き連休中の動向を追います。

参考情報

  • 内閣府沖縄総合事務局「不正アクセスによる個人情報漏えいの可能性について」(2026年4月28日公表)
  • ScanNetSecurity「FileZen 専用サーバへの不正アクセス、内閣府沖縄総合事務局が保有の個人情報漏えいの可能性」(2026年5月1日)
  • 沖縄タイムス「沖縄総合事務局のサーバーに不正アクセス 1万5000人超の個人情報が流出か」(2026年4月)
  • 琉球新報「個人情報1万5000人分が漏えい恐れ 沖縄総合事務局への不正アクセスで」(2026年4月)
  • QAB琉球朝日放送「不正アクセス 1万5091人の個人情報漏洩の可能性 沖縄総合事務局」(2026年4月29日)
  • アルプスアルパイン株式会社「外部VPNシステムへの不正アクセスに関するお知らせ」(2026年4月27日公表)
  • ScanNetSecurity「アルプスアルパインの外部VPNシステムに不正アクセス」(2026年5月1日)
  • ITmedia NEWS「アルプスアルパイン、VPN経由で不正アクセス被害 従業員の個人情報流出か」(2026年4月28日)
  • 日本郵船株式会社「個人情報漏えいについて」(2026年4月9日公表)
  • ScanNetSecurity「日本郵船グループが利用する船舶燃料調達システムに不正アクセス」(2026年5月1日)
  • Security NEXT「燃料調達システムに不正アクセス、情報が流出 - 日本郵船」(2026年4月)
  • IPA「2026年度 ゴールデンウイークにおける情報セキュリティに関する注意喚起」(2026年4月20日公表)

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