【セキュリティニュース】2026年4月20日号|前橋市建設会社がBECで5,000万円被害・マネーフォワードがなりすまし警鐘・フィッシング対策協議会が4月緊急情報を連続公開
本日のテーマは「人を狙うなりすまし攻撃」。群馬県前橋市の建設設備会社がビジネスチャット上で社長を装った人物の送金指示に従い、5,000万円をだまし取られた事案を警察が捜査中と報じられました。マネーフォワードは同社およびグループ会社の役職員をかたるなりすましアカウント・不審メッセージがSNS・ビジネスチャット・メールで確認されているとして注意喚起を公表。フィッシング対策協議会も4月に入り、金融機関・国民健康保険料・第一生命・保険会社を装った偽メールについて緊急情報を連続公開しています。中小企業を直撃するソーシャルエンジニアリング攻撃が3本に集中しました。
ニュース1
NEWS 01
群馬テレビ・テレビ朝日系ANN | 2026年4月15日報道
前橋市の建設設備会社、ビジネスチャットで社長を装った送金指示に応じ5,000万円被害——警察が捜査中
群馬県前橋市の建設設備会社が、社内連絡用のビジネスチャットツール上で社長を装った人物から送金指示を受け、5,000万円を不正な口座に即時振込されたことが2026年4月15日に報じられました。発生日は2026年3月19日で、群馬県警がビジネスメール詐欺(BEC)事件として捜査を進めています。
報道によると、手口は次のとおりです。まず社長を名乗るアカウントからビジネスチャットに「以前のチャットツールにログインできなくなっている。今後の業務連絡のため新しく追加してほしい」とコンタクト申請が入り、社員が承認しました。その後、社長不在のタイミングを狙って「今から5,000万円を振り込みます。口座情報を送るので届いたらすぐに即時振込で手配してください」というメッセージが送信され、社員はこれを本物と信じて指定口座に5,000万円を振り込みました。翌日、別の社員が社長本人に確認したところ、送金指示が偽物であったことが発覚しました。
この日は社長が出張で不在であり、社員が本人への直接確認を省略したことが被害につながっています。警察庁は「法人を対象とした詐欺(ニセ社長詐欺)」として以前から注意喚起を重ねており、ビジネスチャットを悪用する手口の増加を警戒しています。
▌中小企業への影響
この事案の核心は「メールではなくビジネスチャット経由」という点です。多くの中小企業はBEC対策を「メールのSPF/DKIM対策」として考えていますが、攻撃者はChatwork・LINE WORKS・Microsoft Teams・Slack等のビジネスチャットに移行しつつあります。チャットツールは「社内の人しかいない」という心理的な安心感があるため、社長や上司を装ったメッセージが疑われにくいという特性があり、中小企業ほど被害を受けやすい構造です。5,000万円という金額は中小企業の運転資金を直撃する規模で、資金繰りを崩す被害になり得ます。
▌推奨対応
- 「高額送金は必ず電話+チャット以外の方法で本人確認」を社内ルールとして文書化し、周知する(金額基準を事前に決めておく)
- ビジネスチャットでの社長・役員からのコンタクト追加申請は、必ず本人に別手段で確認する運用を徹底する
- 社長・経理・総務には「緊急の送金指示は全て疑う」を原則化し、断っても問題ないことをトップが宣言する
- ビジネスチャットの管理者設定で、外部ユーザー追加時の承認フロー・多要素認証を有効化する
- ビジネスチャット利用中の全社員に「社長なりすまし詐欺」の手口を共有する簡易研修(15分程度)を実施する
ニュース2
NEWS 02
株式会社マネーフォワード | 2026年4月13日公表
マネーフォワード、同社・グループ役職員をかたるなりすましアカウントや不審メッセージで注意喚起——SNS・ビジネスチャット・メールで確認
クラウド会計・給与計算サービスを提供するマネーフォワードは2026年4月13日、同社および当社グループ会社の社名や役職員をかたるなりすましアカウント、ならびに不審なメッセージが、SNS(TikTok等)・ビジネスチャット(Chatwork等)・メールで確認されていることを公表し、注意喚起を発表しました。
同社によると、なりすましメッセージの内容は「広告案件やコラボレーション企画の依頼」「業務連絡」などを装ったものが確認されており、当社および当社グループが運営する公式SNSアカウント以外は、マネーフォワードと一切関係がないと明示しています。なりすましアカウントや不審メッセージを発見した場合には、アカウントの削除要請・関係機関への通報などを厳正に進めているとしています。
マネーフォワードは中小企業のバックオフィス業務で広く利用されているクラウドサービスのブランドであり、同社を騙ることで得られる「信頼」を悪用した攻撃は、パートナー事業者・取引先・利用企業の担当者まで幅広く影響します。同社は2024年にも代表取締役社長CEOを装ったなりすましアカウントについて注意喚起を行っており、サービス事業者側の継続的な対策と、利用者側の警戒の両面が求められています。
▌中小企業への影響
マネーフォワードのクラウド会計・給与計算を利用している中小企業は、自社の経理・総務担当者が「マネーフォワード担当者」「マネーフォワードの提携先」を名乗る業務連絡を受ける可能性があります。正規のサービス担当者との区別がつきにくいケースでは、不正なURLへの誘導・フィッシング・情報搾取のリスクが発生します。また、自社のSNSアカウントや社員のビジネスSNSにも、他社役員を装ったコンタクト申請が来ることがあり、情報共有・資料送付の依頼に応じることで自社の情報が流出するおそれがあります。
▌推奨対応
- 利用中のクラウドサービス(マネーフォワード・freee・楽々精算等)の公式連絡窓口・公式ドメインを経理・総務担当者が把握する
- クラウドサービス事業者からの連絡に違和感があれば、メール返信ではなく公式サイトのサポート窓口から確認する
- SNS・ビジネスチャットで見慣れない社名・役員から届くコンタクト申請は、必ず正規の公式サイト情報と照合する
- 不審なメッセージのスクリーンショット・ヘッダー情報を社内共有し、同様の攻撃が他の社員に届いていないか確認する
- 利用中SaaSの多要素認証(MFA)を有効化し、アカウント乗っ取りによる内部なりすましを防ぐ
ニュース3
NEWS 03
フィッシング対策協議会 緊急情報 | 2026年4月10日〜16日連続公開
フィッシング対策協議会、4月に金融機関・国民健康保険料・第一生命・保険会社名義のフィッシングを緊急公開——SMS・偽サイトが連続発生
フィッシング対策協議会は2026年4月に入り、金融機関・公的機関・保険会社を装ったフィッシングについて、緊急情報を連続公開しています。直近の緊急情報は下表のとおりで、手口はSMS(スミッシング)・メール・偽サイト誘導を組み合わせたものが中心です。
2026年4月 フィッシング対策協議会 緊急情報(主要4件)
| 公開日 |
騙りのテーマ |
想定される利用者 |
| 2026年4月10日 |
金融機関をかたるフィッシング |
銀行・証券利用者全般 |
| 2026年4月13日 |
国民健康保険料の支払い依頼 |
自営業・フリーランス・退職者 |
| 2026年4月16日 |
第一生命をかたるフィッシング |
保険契約者 |
| 2026年4月16日 |
保険会社からの支払い依頼 |
保険契約者全般 |
金融機関をかたるフィッシングでは、「お客様の○○銀行口座がセキュリティ強化のため一時利用停止しております。再開手続きをお願いします」といったSMSで、偽のログインページに誘導する手口が確認されています。国民健康保険料や保険料の支払い依頼を装うものは、個人事業主・フリーランスや保険契約者に「支払い期限超過」「未払いのお知らせ」などの偽通知を送り、クレジットカード情報を入力させる流れが典型パターンです。
警察庁のまとめでは、リアルタイム型フィッシング(入力された認証情報をリアルタイムで使って即座に不正送金を実行する手口)やボイスフィッシング(電話連携型)の組み合わせが高度化しており、1回あたりの不正送金額が約4億円に達した事例も2026年以降に確認されています。中小企業の経営者・従業員の個人口座が狙われれば、会社の業務用決済に使う銀行口座にも横展開される危険性があります。
▌中小企業への影響
フィッシングは個人を狙う攻撃に見えますが、中小企業の経営者・従業員が個人PCやスマートフォンで業務用メール・業務用クラウドにアクセスしている場合、個人口座の認証情報窃取から業務用アカウントの乗っ取りに発展する事例が増えています。また、経理担当者が「保険会社からの支払い依頼」を偽メールで受け取り、法人口座から誤送金するパターンも実際に発生しています。公的機関(健康保険)・保険会社を装う手口は「期限」「未払い」という心理的プレッシャーを使うため、中小企業の経理・総務担当者が動揺して判断を誤りやすい特徴があります。
▌推奨対応
- 銀行・保険会社・公的機関の公式サイトは必ずブラウザのブックマーク経由でアクセスし、メール・SMSのリンクは踏まない運用を全社員に徹底する
- 公式アプリを利用して手続きを行う(パスワード入力よりもアプリの通知を正とする)
- 業務用メールに多要素認証(MFA)を必須設定し、認証情報が漏えいしても被害を最小化する
- 経理担当者への「支払い依頼メール」は差出人ドメイン・支払先口座を必ず既存の取引情報と照合する
- フィッシングを受信した場合は、フィッシング対策協議会(info@antiphishing.jp)または警察庁のフィッシング110番に報告する
まとめ
編集部まとめ
本日の3本は全て「技術の脆弱性ではなく、人間の判断を狙った攻撃」です。前橋市の事例はビジネスチャット経由の社長なりすまし、マネーフォワードの注意喚起は公式ブランドの悪用、フィッシング対策協議会の緊急情報は金融・公的機関・保険会社のなりすまし。攻撃の入り口は多様化していますが、対策の軸は共通して(1)高額送金・情報提供は必ず別手段で本人確認、(2)公式サイト・公式アプリ経由で手続きを行う、(3)多要素認証を有効化しておく、の3点です。新しいセキュリティ製品を買う前に、今週中に社内ルールとして明文化し、全社員に周知することを強く勧めます。
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