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ランサムウェアとは|最近の被害の事例と中小企業の対策

最終更新 2026年10月20日

ランサムウェアの手口と、警察庁・IPA の最新の発表から分かる被害の傾向、2026年に公表された事例、中小企業が今日から確かめたい対策と被害にあったときの連絡先をまとめます。

ランサムウェアとは

ランサムウェアは、会社のサーバーやパソコンのデータを暗号化して使えなくし、元に戻すことと引き換えに金銭(身代金)を求める不正なプログラムです。 最近は、暗号化の前にデータを盗み出し、「払わなければ公開する」と二重に脅す手口(二重恐喝)が中心です。暗号化をせず、盗んだデータだけで脅す手口(警察庁は「ノーウェアランサム」と呼んでいます)もあります。

IPA の「情報セキュリティ10大脅威 2026」(2026年1月29日発表)では、組織編の1位が「ランサム攻撃による被害」で、11年続けて選ばれています。2位は「サプライチェーンや委託先を狙った攻撃」です。

最近の手口(公的機関の発表から)

警察庁が2026年9月10日に公表した「令和8年上半期におけるサイバー空間をめぐる脅威の情勢等について」の数字です。

項目 2026年上半期(1〜6月)
ランサムウェアの被害の報告 123件(半期として、統計を取り始めた2020年下半期以降で最多)。前年同期は116件
ノーウェアランサムの被害の報告 9件
中小企業の被害 123件のうち79件(警察庁は「約6割」としています)
手口が分かったもの 66件のうち、二重恐喝が61件
侵入の経路(回答36件) VPN 機器18件、リモートデスクトップ9件、そのほか9件
復旧までの期間(回答48件) 1か月未満で復旧したのは23件。2か月以上が8件、復旧中が13件
調査・復旧の費用(回答35件) 1,000万円以上が21件。うち1億円以上が4件
バックアップからの復元(回答40件) 復元できたのは11件、できなかったのは29件

この数字から、中小企業が押さえたい点は次の3つです。

  • 入口の多くは VPN 機器とリモートデスクトップです。警察庁は、標的型攻撃メールなどの添付ファイルによる感染は少なくなっているとしています。
  • バックアップがあっても戻せないことが多いです。復元できなかった29件の理由は、バックアップも暗号化・消去されたものが14件、運用の不備が8件でした。
  • 復旧には時間とお金がかかります。1か月以上かかった組織、1,000万円以上かかった組織が多くあります。

バックアップが一緒に壊された事例

2024年5月に被害にあった岡山県精神科医療センターの調査報告書(2025年2月13日公表)では、次のことが書かれています。

  • 2024年5月13日に侵入され、約6日のあいだに院内のネットワークが調べられ、バックアップのデータが探されて壊され、ウイルス対策ソフトが止められたうえで、5月19日に電子カルテなどが暗号化された
  • 侵入の原因として、保守用の VPN 装置の脆弱性が2018年の設置から直されていなかったこと、推測しやすい ID・パスワードが使われていたことが挙げられている。同じ管理者のパスワードが院内のコンピューターで使い回され、一般の利用者にも管理者の権限が与えられていた
  • オフラインのバックアップを取る契約はあったが、正しく取れておらず、そこからは戻せなかった。暗号化を免れた別のサーバーからデータを取り出して戻し、電子カルテが完全に戻ったのは約3か月後
  • 最大4万人分の個人情報(氏名・住所・生年月日・病名など)が漏えいした

「古い VPN 装置」「使い回された管理者のパスワード」「同じネットワークにつながったバックアップ」は、規模を問わず多くの会社にあてはまります。

2026年に公表された事例(会社の発表から)

  • 興和江守(化学品などの販売):2026年1月7日に被害を公表。受注・出荷が遅れ、メールが使えなくなった。2月16日の報告では、外部への明確な漏えいの痕跡は確認されていないとし、多要素認証や常時の監視などの再発防止策を示しています
  • フィーチャ:2026年5月13日の最終報で、不正アクセスを受けたサーバー32台のうち13台が感染し、外部へのデータの送信を確認したと公表。ログが暗号化されていたため、原因は特定できていないとしています
  • コタ(美容室向けの化粧品):2026年8月20日に、3月27日のサイバー攻撃で株主・顧客などの情報が閲覧された可能性を否定できないと公表。9月17日の決算短信で、ランサムウェアへの感染と説明しています
  • IDCフロンティア(クラウド):2026年10月7日に、障害の原因がランサムウェアによる攻撃と判明したと公表。IDCFクラウドを契約する495の企業・自治体に影響が出ています。10月14日の第5報では、仮想サーバーのデータが外部に流出した痕跡はないと判断したとしています

委託先が被害にあい、預けていた情報が漏えいする例も続いています(例:福岡大学の委託先のランサムウェア被害)。

中小企業の対策(チェックリスト)

警察庁の「ランサムウェア被害防止対策」と JPCERT/CC の「ランサムウエア対策特設サイト」の内容をもとに、中小企業が確かめたい点を並べます。

入口をふさぐ

  • VPN 機器・ファイアウォール・UTM の型番とファームウェアの版を一覧にし、修正版を当てる(サポートが切れた機器は入れ替える)
  • VPN とリモート接続に多要素認証を付け、接続できる IP アドレスを絞る
  • 使っていないリモートデスクトップ(RDP)・ファイル共有(SMB)を外から使えないようにする
  • 保守の会社が使う接続口(保守用の VPN など)の有無と、その ID・パスワードを確かめる

広がりを止める

  • 管理者のパスワードをパソコン・サーバーごとに別にし、初期の ID・推測しやすいパスワードを使わない
  • ふだんの利用者に管理者の権限を与えない
  • ウイルス対策ソフト(できれば EDR)を入れ、止められたら気づける設定にする

戻せるようにする

  • バックアップを世代ごとに取り、少なくとも1つはネットワークから切り離して保管する
  • バックアップを取る仕組みの ID を、ふだんの業務の ID と分ける
  • 年に1回以上、実際にバックアップから戻せるかを試す

備える

  • VPN 機器・サーバーのログを残す(上書きで消えない量・期間にする)
  • システムが止まったときの業務の続け方(紙・電話・別のツール)と、連絡の順番を1枚にまとめる
  • 預けている委託先・クラウドで、被害が起きたときの知らせ方を契約で確かめる

被害にあったら

  • ネットワークから切り離す:感染した端末やサーバーをネットワークから外す。警察庁は電源を落とさないよう呼びかけています(調べるための記録が消えるため)
  • 警察に通報・相談する:都道府県警察の窓口か、警察庁のオンラインの受付から。警察庁は、通報しても公表を求めないとしています
  • 個人情報保護委員会に報告する:ランサムウェアなど不正の目的のおそれがある漏えい(そのおそれを含む)は、件数にかかわらず報告と本人への通知が必要です。速報は知ってから概ね3〜5日以内、確報はこの場合60日以内です
  • 相談する:IPA の「企業組織向けサイバーセキュリティ相談窓口」「不正アクセス特別相談窓口(事業者向け)」、JPCERT/CC の「インシデント対応依頼」
  • 身代金は払わない:警察庁は、支払いが犯罪グループの資金になるおそれがあり、データが戻る保証もないとしています。JPCERT/CC も、支払いを選ぶべきではないとしています
  • 復号の道具を確かめる:警察庁は、No More Ransom と、警察庁が作った一部のランサムウェア向けの復号ツールを案内しています

出典

ランサムウェアの最近の事例

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